福寿会

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2025. 01.08
植木先生

植木理恵顧問「今月の一言」2025年1月

「ふすまの心理」

 

日本人独特の距離感

 


日本人には西洋人にない、人に対する独特の距離感があります。

私はそれを「ふすま」的な感覚と名付けています。

木と紙でできた伝統的日本家屋に欠かせない引き違いの戸、

ふすまには日本人らしい対人感覚が表れているように感じるからです。

 

西洋式の家であれば、部屋はドアで仕切られ、部屋に入る際はコンコンとノックをして入らないといけません。

ドアの向こうからは部屋のなかにいる人が何をしているかはまったくわかりません。

反対にいままで一緒にいた人がドアを開けて部屋から出ていくと一人残されたような気分になったりします。


それに対し、ふすまはその向こうにいる人の気配が感じられます。

 

ふすまのある家では、ふすまの向こうとこちら側にいる人が互いの気配を感じながら違うことをしています。

相手とべったり一緒にいるのではなく、かといってまったく離れてしまうのでもない微妙な距離感。

この感覚が日本人は好きなのだとおもいます。


一緒に何かをする協働作業は、楽しいけれど同時にしんどさもあります。

ふすま的な距離感を置きながらそれぞれが別のことをやると伸び伸びとした心持になってとても落ち着くのです。

 

 

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